探県記 Vol.37

匹見ワサビ

(2015年9月)

HIKIMI WASABI

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  • 内山興
    初代キャプテン

 

かつて“東の静岡・西の匹見”と評されて、
現在では“幻”と呼ばれる、凄いワサビがありました。

 

島根県の西部を流れる高津川は、水質日本一にも選ばれた国内屈指の清流。その支流のひとつに、変化に富んだ地形と澄んだ流れで知られる、匹見川があります。
この匹見川の最上流、標高500m以上の源流域に、緑の葉を広げた美しいワサビ田があります。
 
かつて“東の静岡・西の匹見”と評されていたほど、匹見ワサビは有名でした。けれど、度重なる水害や生産者の高齢化によって、次第に出荷量は激減。近年では“幻のワサビ”とまで言われています。
 
そんな現状を憂えて、地元の生産者たちで立ち上げた“葵屋”は、匹見ワサビの生産拡大に取り組むワサビ生産グループです。
 

「匹見の自然は、ワサビにも生産者にも過酷な環境。その分、甘くて、ねばりのあるワサビが育ちます」と担当の安藤達夫さん。京都からIターンして7年目、眠っている匹見の財産の掘り起こしを担う頼もしい人材です。
 

過酷な自然環境で育つワサビは
ちょっと不細工だけど、その分、辛くて甘くて美味しいのです。

 

険しい斜面を登り、清々しいワサビ田にまで降りたって
「静岡産ワサビとの違いってあるんですか?」と内山キャプテン
 
「人工的に石を組む“畳石式ワサビ田”が静岡です。匹見では、急斜面に石を組む“渓流式ワサビ田”と呼ばれる、自然に近い昔ながらの方法で栽培しています。冬には2m以上の積雪に覆われるため、栽培期間が他所のワサビより長くて、おおむね2年で収穫します。だからか、匹見ワサビの見た目はちょっと“不細工。その分、風味と甘味が持ち味のワサビに育ちます」と安藤さん。
 

ワサビ生産グループ葵屋では、花ワサビや葉ワサビに加え、ワサビペーストに自然薯を加えたワサビペーストの真空・冷凍パックなどの生産にも精力的に取り組んでいます。
 

 
広葉樹林の中、清流が走る匹見のワサビ田は、夏でもひんやりとして気持ちいい。けれどその反面、昨年起こった水害の爪痕が未だに残っていたり。凄いワサビのその陰には、切磋琢磨しながら自然との共存を図る人々の努力がありました。
 
【アクセスについて】
●葵屋へのアクセス/JR山陰本線「石見横田駅」から車で約42分
●島根県益田市匹見町紙祖イ262
 
 

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