探県記 Vol.89

金屋子神社・金屋子神話民俗館

(2016年10月)

KANAYAGO JINJA
KANAYAGOSHINWA MINZOKUKAN

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  • 小幡美香 隊員

  • 木内吾平キャプテン

金屋子神社~たたら製鉄の神様は
ちょっと嫉妬深い女神様でした。

 

 

流れる水と、木々を揺らす風と、野鳥のさえずり、そんな自然の音しか聞こえてこない、島根県安来市広瀬町の最奥部に、全国1200社を数えるという「金屋子神社」の総本山があります。本殿および拝殿は、全国的にも珍しい総ケヤキ造り。高さ9mの鳥居は、石造り日本一と評されています。
 
そもそも〝金屋〟とは、たたら師・鍛冶師・鋳物師の作業場、また、これら火を扱う職人のことを意味する言葉。つまり金屋子神は職業神であり、鉄の神・火の神なのです。
 

その縁起は、次の様。──日照りで困っていた播磨の国に降臨し、慈雨をもたらし多くの民を飢餓から救った金屋子神は、「吾は西方を司る神なれば西方に赴かん」と仰って、白鷺に乗り出雲の国の山林の、桂の木に降り立たれました。そこで偶然、狩りの途中の安部正重という人が金屋子神を発見し、長田兵部朝日長者という人が宮居を建立。発見者の安部正重が神主に任じられ、金屋子神は自ら技師長〝村下(むらげ)〟となって、たたら製鉄を当地に根付かせたのです。──
 

「金屋子神は女神様ですから、女性に対して嫉妬心があり、たたら場は女人禁制。その真意は、職人たちが女性に気を取られて仕事を失敗しないようにと講じられた対策でした」とお話くださるのは、当代宮司の安部正哉さん。息子の圭司さんと共に、霊験あらたかな金屋子神社を守られています。
 
普段は閉ざされていることの多い拝殿ですが、この日はお祓いをお願いして、殿内まであがることがかないました。
 
「正式参拝をいたします」正哉さんの声が拝殿に響き、圭司さんが叩く大鼓の音で、厳かな神事が始まりました。
 

いいもの探県隊を代表し、木内キャプテンが玉串をお供えします。二礼二拍手一礼。
「これからも、素晴らしい探県ができますように!」
 
春秋の大祭には、現在でも、製鉄関連企業のトップをはじめ、全国各地から大勢の関係者が参詣。その信仰の厚さがわかります。
 

金屋子神話民俗館~たたらをもっと知るために
金屋子神社と合わせて行きたいスポット

 

金屋子神社から歩くこと数分の近距離に、金屋子神話民俗館があります。〝金屋子さん〟と呼ばれて親しまれる神様をテーマに、地域の生活の移り変わりを展示する、4つの展示室と1つの映像ホールで構成されている民俗館。金屋子神社からの流れで見ると、さらにグッとくる民俗館です。
 

スロープを下りた第2展示室で、堂々と鎮座している祠(ほこら)に注目。
「たたらを始めるときに屋敷の一角に分祀した、これも金屋子神社のひとつ。たたら製鉄業者〝卜蔵家(ぼくらけ)〟の庭にあったものです」と高岩俊文さん(安来市教育委員会)。
「たたらとは、それほど危険な仕事だったというわけですね」と、中を覗き込む木内キャプテンです。
 
第4展示室では、江戸時代の勧進帳(遷宮費用寄進者名簿)を見ることができます。
「金屋子神社へ寄進した人々の名前が記された3冊の帳簿です。火災にも焼けず、この3冊だけが残りました。こうして図にすると、中国山地一帯に広大な信仰圏が形成されていたことがわかります」と高岩さん
 

「まさに鉄の繁栄地図ですよね!」と興奮ぎみの小幡隊員。歴女の片鱗がうかがえます。

〝金屋子神社から金屋子神話民俗館へ〟という流れは、この地を訪れたなら必須のコース。
神秘的な森の中、どこか異空間を感じられる、静かでミステリアスな場所でした。
 

 
【アクセスについて】
●金屋子神話民俗館へのアクセス/JR安来駅より広瀬バスターミナル下車、西比田方面行きに乗換、西比田車庫下車、徒歩約20分
●島根県安来市広瀬町西比田213-2

【WEBサイト】
金屋子神社
金屋子神話民俗館
 
 

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