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STORY
大山のふもと、日本海のほとりから、完全オーガニックな「食べたい」をお届け!
鳥取県西伯郡大山町[大山スマイルファーム]
南側には中国地方の最高峰・頂上の標高1709mの大山がそびえ、北側には海抜0メートルの日本海が広がる大山町は、山と海の双方の自然から大きな恩恵を受ける豊かな土地です。ことに山麓は、大昔の大噴火によってもたらされた、有機物を多く含む黒ボクの土壌。海岸沿いにまで広がる農地ではブロッコリーや白ネギ、トウモロコシなども栽培されています。
9月某日、海岸沿いの農地の一画では、鮮やかなコバルトブルー色の花が咲いていました。豆科のハーブの一種・バタフライピーの花です。さらに、その隣は、ピンク色の花びらをつけたハーブ・エキナセアの畑。ここは、小林直哉さんが代表を務める「大山スマイルファーム」の自家農園。小林さん自らがオーガニックで栽培した野菜やハーブを使って加工品を全て手づくりし、流通・販売までを行う6次産業化を実践する、小さいけれど高い志ある会社です。
有機農産物の生産&加工品製造から販売までを行う「大山スマイルファーム」のプロフィール
小林さんは、2010年に岡山からご家族と共にUターンし、当初はハーブティーのメーカーに勤務。その頃すでに、母•美穂子さんが「大山スマイルファーム」を立ち上げていたことから、’17年、小林さんも本格的に経営に参加されて、’21年に代表を継承。「最初から最後まで自分たちの手で」をモットーに、安心・安全な「自分たちが、食べたい!と思うもの」を、大山のふもと、日本海のほとりから、丁寧につくり送り出しています。
大山スマイルファームの前身は、実は、小林さんのお祖母さんが中心になって、ケチャップなどの農産加工品を手づくりし、JAの直売所で販売していたことが始まり。そして、「母が勤務先を早期退職して、農産加工品の製造に本腰を入れたのがきっかけ」というわけです。
「祖父母の代には梨農家でしたが、ずいぶん前に辞めてしまっていて。空いた農地を再活用する目的もありました。けれど僕としては、ただ“野菜を育てて売るだけ“っていうのは、あまり気が乗らなくて。当時、国による6次産業化の支援施策もスタートしていて、それを利用し生産から加工・流通・販売までを行う現在のスタイルになりました」。
「生産者さんから仕入れた物でオーガニックの加工品を作る事業者さんは多くいるし、オーガニックの野菜を作って販売する農家さんもいます。けれど我が社は、自分で育てたオーガニック野菜を全て社内で加工するのが基本。オーガニック栽培は、曲がっていたり規格外だったりムラが大きいので、そのままでは商品になりませんが、加工品なら多少見た目が良くなくてもロスなく使える利点があります」と小林さん。さらに、自ら野菜を育てていることで、販売する商品のルーツからきちんと説明できるのも、大山スマイルファームの強みとなっているのです。
大山スマイルファームでは、有機JAS認証を取得されています。野菜栽培から加工販売までの両方において、オーガニック認証を取得する事業者はとても珍しいとのこと。現在、製造販売している商品は「オーガニックケチャップ」、奇跡の野菜ビーツを使った「魔法のベジジャム」、ごぼう茶&赤なた豆茶の「オーガニックティー」など20種類以上。おいしさとアイデアがいっぱい込められた、楽しいラインナップです。
青い「バタフライピー」と、ピンクの「ビーツ」華やかなジンジャーシロップはいかがでしょう。
あるとき、ジンジャーシロップを商品化したいと思い立った小林さん。「特別に珍しい商品でもないし。我が社が個性を出せるのはどこかな?」と考え、出した答えが、色を楽しむオーガニックジンジャーエールでした。
大山スマイルファームさんでは元々、オーガニックハーブティーのために「バタフライピー」を、オーガニックジャムのために「ビーツ」を栽培していましたから、シロップに華やかな色を加えることはお手のもの。炭酸水で割るだけで「ブルー」と「ピンク」のオーガニックジンジャーエールが出来上がり。お湯で割ってホットにしても華やかな「ブルー」と「ピンク」に発色します。
水を加えず無加水でつくられたジンジャーシロップは、濃厚で素材本来の味。もちろん、生姜、砂糖、バタフライピー、ビーツの原材料全て国産で、オーガニック認証を取得する商品です。
「量産できるところと価格競争しても仕方ない。売価が上がって数は出ないかもしれませんが、それで良しとしています」と小林さん。そこには、安心・安全でおいしい物をつくっているという仕事に対するプライドがあるのです。
小林さんの「エキナセア」と、本間さんの「梨」で
優しいオーガニック クラフトコーラができました。農薬やホコリなどをきれいに洗い流します。
小林さんが育てたハーブ(エキナセア)と、町内の梨農家・本間晋さんが育てた梨を原材料にして生まれたオーガニック クラフトコーラ。きっかけは「地元の生産者さんが育てた梨の加工品が、地元にはあまりないな」と常々、小林さんが感じていたことでした。
そこで、小林さんが声をかけたのは、Iターンで梨農家になった本間さん。剪定から誘引・間引き・袋がけ・収穫という一連の作業を全ておひとりで行なっているその姿に、小林さんの思いと相通ずるものを感じあえたのでしょう。
こうして生まれたのが「梨とエキナセアのオーガニック クラフトコーラ」なのです。
手渡したときに「ちょっとした小話ができるような手土産ができたなら! 生産者の顔が少しでも見えたなら!」そんな思いが込められたオーガニック クラフトコーラは、小林さんらが立ち上げたおみやげブランド「OMOTASE DAISEN」の記念すべき第1号商品となりました。「おもたせ」とは「おみやげ」の意味をもつ言葉。大山町の隠れた名品を、気軽に味わっていただきたい!そんな思いが込められているのです。