探県記 Vol.110

出雲かみしお

(2017年6月)

IZUMO KAMISHIO

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  • 原博和 隊員

八百万の神さまが年に1度降り立つ稲佐の浜の
神宿る海水からつくられる「出雲かみしお」

 
縁結びの神さまとして有名な出雲大社から西方に約1㎞、年に一度、旧暦の10月10日に、日本全国から八百万(やおよろず)の神さまをお迎えする神聖な地〝稲佐の浜〟があります。このとき厳かに執り行われるのが『神迎神事(かみむかえしんじ)』。「神々の姿なき御姿を映すその清らかな海水には、神秘の力が宿る」と語り継がれているのだそうです。
 
今回、一行は、八百万の神さまが降り立つ稲佐の浜から海水を汲みあげて、神がかり的に美しい塩をつくる「出雲かみしお」の土江光二さんを訪ねました。到着したのは、大型トラックが並ぶ(有)土江重機。土江光二さんは、代表取締です。

 
そもそもの、塩づくりのきっかけはなんだったのでしょう。土江さん。
「以前から、出雲らしいお土産が少ないのじゃないかと思っていて。なにか自分にできることはないかと考えていたとき、〝稲佐の浜〟の海水で塩づくりをしようとひらめきました」
そうと決めたら、実行あるのみ。土江さんは、塩づくりを学ぶため秋田県をはじめ各地を奔走。釜だけは職人さんにお願いして、本業の重機事務所の隣に、塩づくり工場をひとりで完成させました。平成23年のことでした。
 
「塩づくりの最初は、稲佐の浜から海水を運んで来ること。そこは本業ですからお手のものです。1回で4tの海水を運びます」と土江さん。
運ばれてきた海水は釜に移され、ゆっくりじっくり時間をかけて水分を蒸発。途中に1度、取り出して釜を洗浄してから再度火にかけ、不純物を丁寧に取り除きながら煮つめます。そうすることで、どんな塩より真っ白な「出雲かみしお」ができあがります。

 
「4tの海水から、どのくらいの量のお塩ができるんですか」と原隊員。
「季節によって違いますが、90㎏から100㎏、冬なら80㎏くらいですね」と土江さん。
 

「盛り塩」も「お守り塩」も人気ですが
料理につかってもおいしいと原シェフの太鼓判

 

塩づくりのポイントは火加減で、土江さん独自の製法は、ガスを使ってたっぷり時間をかけること。そうすると、味はまろやかになり、粒の大きな結晶になるのです。
「結晶になる瞬間が塩づくりの一番の魅力。塩の結晶がクルクル回りながら浮いてくるんですよ」と、実に楽しそうに話す土江さんです。

 
ちなみに、塩づくりでは、薪を使うことが普通だそうですか、土江さんはガス派。薪では火力が強すぎて、思うような結晶にならないのだそうです。
 
本業の傍ら、土江さんひとりで行っている塩づくりも、月に2回が限界。それもそのはず、釜に火を入れると、塩ができあがるまでに6日間から7日間はかかるのだそう。この期間は、工場に隣接する仮眠室で睡眠をとるのです。
 

当初は、建設現場の地鎮祭などのお清めの盛り塩として提供していた土江さんの塩ですが、出雲大社ゆかりの神宿る塩として口コミで広まり、現在は、大社参りのお土産として、おしゃれでかわいい「お守り塩」が評判です。
 
もちろん食用としても一級品。原隊員のお店でも「出雲かみしお」を使っています。
「尖(とが)ったところも、雑味もなく、後味がサラッとしていますよね。地元の海水の海塩ですから、地元で獲れた魚貝の料理に合うのは当たり前。牡蠣など、上質なミネラル感がまったく違和感なくなじむんです」と太鼓判。

 
「出雲かみしおの」のコンセプトは「ここだけのもの」。ですから、取り扱っているのは、出雲大社の神門通りにある直営店だけ。「出雲大社に人を呼びたい」という土江さんの熱い思いが詰まっています。
 
【アクセスについて】
●出雲大社神門通り「出雲かみしお」へのアクセス/J出雲大社前駅より徒歩約4分
●島根県出雲市大社町杵築南838-6

【WEBサイト】出雲かみしお
 
 

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