探県記 Vol.121

亀井堂

(2017年11月)

KAMEIDO

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  • 植田英樹 隊員

戦後生まれの耳ありサンドイッチは
鳥取市民のソウルフードだった

 
鳥取市民なら、誰もが食べたことのある亀井堂のパン。朝食だったり、給食だったり、おやつだったり。常に身近にある存在は、誰が言ったか、鳥取市民のソウルフード。鳥取県中西部では決して買えない、鳥取県東部だけで愛され続けている亀井堂、今回は、その現場へ潜入します。

 
まずは、亀井堂の歴史からご紹介しましょう。
創業は明治36年(1903)、今から120年近く前のこと。おそらく、鳥取の製パン業第1号となる製パン屋さんです。
 
地元出身、植田英樹隊員イチオシは、その名も〝サンドイッチ〟。
サンドイッチといえば、卵サンドやミックスサンド、今流行のボリュームサンドなどを思い浮かべる方が大半だと思われますが、亀井堂のそれは、違います。

 
サンドイッチ用の食パンに挟んであるのは、亀井堂レシピで作られた苺ジャムと、ひと手間加えたピーナッツバターだけ。1枚1枚、食パンの耳まで手作業で塗られているから、仕上げに耳を切り落としたりせず、丸ごとおいしくいただけるという具合です。
誕生時期は定かではありませんが、「戦後くらいからでしょうか」と5代目社長、地原忠実さん。こんなエピソードも話してくださいました。

 
───体が弱くなって、食べ物がノドを通らないという100歳近いおばあさんが言いました。「私が女学校の頃によく食べていた、あのサンドイッチが食べたい」と。これが亀井堂のサンドイッチのこと。さっそく買いに走って差し上げると、おいしそうに食べられたというのです───いかにも『鳥取市民のソウルフード』らしい、グッとくるお話です。

 

70年以上愛される秘訣は
変わらないおいしさであること

 
「サンドイッチはもちろんイチオシですが、実は〝マイフライ〟が一番好きなんです」と告白する植田隊員。食パンにあんこをはさんで揚げたマイフライは、ズッシリと食べ応えのあるベストセラー商品。「油で揚げてあるから、かなりこってりしてそう…」と思いがちですが、食パンが油を吸わないように工夫されていて、あんがいペロッといただける一品なんです。

 
「うちのベスト5 は、サンドイッチ、マイフライ、白あんデニッシュ、切あん、ラスクです」と地原社長。サンドイッチも、マイフライも、70年以上愛されているロングセラー商品。原料も配合も製法も、ほとんど変わらず作り続けられているというのも驚きです。
大きな製パン工場内では、40年物のパン焼き機や、50年前から動くラインだって、現役で稼働しています。

 
これだけ愛されている製パン屋さんなのに、直営店は1軒。本社の駐車場正面に併設する、ちょっと古いプレハブの『ぽるとがる』スリフト店だけなのです。
 
亀井堂は基本的に、スーパー、病院、保育園、学校などがお得意さんの、受注生産スタイルの製パン屋さん。当日出来たてのパンがスーパーに並び、1日後のパンがスリフト店に並ぶという仕組み。
たった1日違いで相当お買い得になったパンを求めて、朝から、ひっきりなしにお客さんがご来店。

 
午前10時から午後2時まで(定休/土曜・祝日)という短い営業時間ですが、人気商品はお昼頃に売り切れることもあるのだとか。近所に欲しいなと思わせる、そんな製パン屋さんです。

 

【アクセスについて】
●亀井堂へのアクセス/JR鳥取駅から車で約9分
●鳥取県鳥取市徳尾122
【WEBサイト】亀井堂
 
 

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