探県記 Vol.122

Zap glass studio

(2017年12月)

ザップグラススタジオ

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出雲の自然をモチーフに創作
吹きガラス工房『Zap glass studio』

 


 

島根県出雲市、窓の外をJR山陰本線が走る芦渡町に、布野康さんの吹きガラス工房『Zap glass studio』はあります。
愛知教育大学でガラスに魅せられた布野さんは、卒業後、12年間を修業に費やし、2009年に独立して、ちいさな吹きガラス工房を開設。生命の源「水」、そして出雲の自然をモチーフに創作を続けています。
 

 
2012年には、山陰の手仕事を盛り上げようと、ジャンルの異なる5人の職人で『シマネRプロジェクト』を設立。翌年には、パリで開催された世界最高峰のインテリア見本市「メゾン・エ・オブジェ」にも初出展。海外からも注目を集めています。
 

「ガラスはリズムが大事。その日の気分でロックをかけながら仕事をしています」と話す布野さんは、気さくで楽しくて親しみやすいひと。
今回は、布野さんの手ほどきで、御秒奈々隊員が一輪挿し作りを体験します。
 

 
先ずは、粉状の色ガラスから好きな色を選び、仕上がりをイメージして鉄板の上に色ガラスを置くところからスタートです。
「1時間くらい真剣に悩む方もいますけど、だいたいその通りにはならないんで、ざっくりでいいですよ」と布野さん。
「色んな色があるんですね。今日はせっかくなので、瑞風カラーのグリーンにします」と御秒隊員。

 
1200℃の高温になる溶解炉の中で、溶かしたガラスを吹き棒に巻き取って取り出し、色ガラスを乗せた鉄板の上をコロコロッと2回転がすところまでは布野さんが行い、いよいよ、吹きガラス体験の本番です。

 
 

布野さんを感心させた御秒隊員
瑞風カラーの一輪挿しの完成!

 

それでは、窯から吹き棒を取り出して行う作業を簡単に説明します。
 

① 吹き棒を回しながら、吹きながら、ガラスをふくらませていきます。ガラスは10秒くらいでかたくなるので素早さが大事。コツは、かためのシャボン玉を吹く感じで、一気ではなくリコーダーのように細く長く吹いてください。

 

② 片手で吹き棒を回しながら、もう片方の手で木の板を押しあて、一輪挿しの底の部分を作ります。コツは、ちょっと押すくらい。あまり強く押すとベチャッとなりますので気をつけて。
 

③ ガラスの底にポンテ棒をつけ、吹き棒からガラスを切り離します。

 

④ 洋バシを使って口を広げたら、形の出来上がり! 最後に徐冷窯に入れ、500℃から一晩かけてゆっくりと冷ましたら完成。急激に冷ましてしまうと、ガラスはすぐに割れてしまうのだそうです。

 
「吹きガラスは、左右の手で別々の動きをするので難しいんですが、うまいもんですね!」と布野さんを感心させた御秒隊員。
「ガラスが水飴みたいにトロッとなったり、ふくらんだり、本当におもしろい体験でした。もっと色んな作品を作ってみたくなりますね」と飛びきりの笑顔。旅の素敵な思い出になったようです。

 
布野さんの工房での吹きガラス体験は、1時間程度で4,000円位から(要予約)。夏場では、工房内が60℃にもなるらしいので、暑さが苦手な方は夏以外の季節をおすすめします。
 
【アクセスについて】
●Zap glass studioへのアクセス/JR西出雲駅より徒歩約10分
●島根県出雲市芦渡町860-3