探県記 Vol.123

宿禰餅本舗 坂根屋

(2018年1月)

SUKUNEMOCHI HONPO SAKANEYA

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  • 谷夏海 隊員

地元出雲産の原料を使って1個1個丁寧に
熟練の職人さんが手作りする和菓子の世界

 
出雲大社正門前のご縁横町にある「出雲ぜんざい餅(大社店)」など、市内で6店舗を展開する宿禰餅(すくねもち)本舗『坂根屋』さんは、明治5年(1872)創業の、145年の歴史をもつ老舗のお菓子屋さん。
2017年4月に完成した新しい工場と、隣合う坂根屋kissa&co(きっさこ)を訪ねました。

 
坂根屋さんは、代表銘菓〝宿禰餅〟で知られるお店ということで、まずは、その名前の由来から。
───日本書記によると、第11代垂仁天皇の頃、大和国に乱暴者がいて、誰か懲らしめる者はいないかと白羽の矢が立ったのが、出雲国の野見宿禰という人物でした。こうして2人が素手で力比べをした結果、見事に宿禰が勝利。この勝負が、諸説ある相撲の始まりのひとつというわけです───。
この物語から、文武両道に秀でた出雲出身の宿禰の名前を冠して、大正元年に〝宿禰餅〟が誕生。奥出雲産餅粉で作った練り求肥は日数が経っても柔らかく、出雲乙立産ゆずと、国産ゴマの2種の味が楽しめる銘菓。土俵がデザインされたパッケージに、力士の紙人形も入っていて、紙相撲ができるよう工夫されています。

 
今回、案内してくださるのは、坂根屋5代目の坂根壮一郎さん。大学卒業後、奈良県大和郡山市の老舗和菓子店で修業を積んだ白衣が似合う若き職人さんです。
 
まずは、完成したばかりの新しい工場へ。
ちょうど熟練の職人さんが、〝利休饅頭〟を作っていらっしゃるところ。「うちは職人さんの手が秤(はかり)」と言われるように、片手で取る餡の誤差は1グラム程度。お見事です。

 
工場内に、ひときわ甘い匂いが漂って、平成元年(1989)に誕生した人気商品〝出雲阿国〟が焼き上がりました。出雲大納言小豆を使った粒餡と、練乳餡の2種。そのおいしさが評判を呼び、FDA(フジドリームエアラインズ)名古屋~出雲便の機内サービスに選ばれています。

 

老舗和菓子屋さんが展開する新しいショップは
和洋スイーツからモーニングやランチも人気

 
では続いて、ショップを併設するカフェkissa&coへ。
明るいショップには、目移りするくらいの和洋スイーツが並んでいますが、まずはカフェへ向かいます。

 
谷夏海隊員がオーダーしたのは、お抹茶とミニ上生菓子のセット800円。通常40グラムのところを、「色んな味を楽しんでいただきたい」と20グラムでこしらえたミニ上生菓子が3種。冬のこの日は、〝新雪〟と〝ゆず〟と〝玉椿〟の組み合わせ。
「い~い香り。3個ともそれぞれまったく違っていて、それぞれにおいしい! 地元の材料を使っていらっしゃるから、より安心していただけるんですね」

 
坂根屋さんのカフェでは、和洋のスイーツはもちろん、坂根屋自慢の餡子がたっぷりついたモーニングや、うどんをパスタ風にアレンジしたランチもいただけます。
 
「県外のお客さんが買われて持ち帰ってくださるので、地元にお金が落ちる。お菓子は地元が潤うような仕組みになっています。ですから将来的には、原料の全部を出雲産にしたい」と坂根さん。
明治5年の創業以来、地元の生産者さんとの間で育んだ絆を、15年前からさらに強化。地元で手間ひまかけて作られた原材料を、同じ地元で生まれ育った職人さんが高い技術で作るお菓子。それこそが「食の安心、安全」に対する坂根屋さんの姿勢なのです。

 
出雲大社にお詣りして、こちらで一服。帰りには、ショップでお土産を調達。そんな楽しい流れを体感できる、新しい出雲のスポット、坂根屋kissa&co。
季節の風物を模った芸術的に美しい各種和菓子から、東京・六本木ヒルズのカフェで提供されたこともある〝抹茶deだんだんありガトー〟などの新商品まで揃う老舗和菓子屋さんの〝今〟に、目も舌も幸せを感じることができました。

 
【アクセスについて】
●宿禰餅本舗坂根屋へのアクセス/浜山公園北口駅より徒歩約9分
●島根県出雲市大社町入南622
【WEBサイト】宿禰餅本舗坂根屋
 
 

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