探県記 Vol.28

隠岐自然館

(2015年7月)

OKISHIZENKAN

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2億5000万年前の岩石や
固有のオキサンショウウオなど
知的好奇心をむちゃくちゃ刺激する。

 
隠岐諸島の中で一番大きな島、島後と呼ばれる隠岐の島町の玄関、西郷港。そのフェリー乗り場のすぐそば、隠岐ポートプラザの2階に隠岐自然館はあります。隠岐諸島の成り立ちや、特異な自然環境などを、興味深く紹介する展示施設です。

 
たとえば5000万年前、隠岐は大陸の一部だった。そして2万年前の氷期の時代には、隠岐と島根半島はつながっていて、1万年前の温暖化によって海面が上昇し、隠岐は離島になった。そのとき島には、様々な植生の植物が取り残されたのだそう。
「標高607mが最も高い隠岐ですが、標高1000m以上でしか見られない植物が、すぐ足元でごく当たり前に生育しています」と隠岐世界ジオパーク推進協議会の事務局長、野辺一寛さん。そうです、隠岐は、2013年9月、国内で6番目に世界ジオパークに認定されています。

 

島全部が隠岐世界ジオパークに認定
知れば知るほど観光が何倍も面白くなる。

世界ジオパークとは、ユネスコの支援によって設立された世界ジオパークネットワークが審査・認定をするもので、いわば、大地の上に成り立つ生態系や歴史・文化などを含む、地質の世界遺産というわけです。
「隠岐って、植物のノアの方舟みたいですね」と錦織監督が感心したのは、日本海側に分布する「ウラスギ」の物語。
今から2万年前の、隠岐と島根半島が陸続きだった氷期、気温の低下によって亜寒帯では生きられない杉は、温暖な地域へと種子を飛ばして避難します。その避難先が隠岐であり、杉は隠岐で生き延びました。その後、温暖化になると、隠岐で生き延びた杉は日本海側に広く分布したわけで、ウラスギのルーツは、隠岐にあったと考えられています。
さらに、日本の3奇岩のひとつ「トカゲ岩」の解説も秀逸。
このトカゲの形をした岩は、アノーソクレイス響岩質粗面斑岩という極めて貴重な岩質で、露出するのは世界中でたった3ヶ所、隠岐と南極とケニア山だけという不思議。
とにかく隠岐には、もの凄いものが無造作にありすぎることがわかります。
隠岐島内を観光する前に、隠岐自然館を訪れておくと、なんでもないような岩や巨木が、花や動物が、そして島内に伝わる歴史や文化が、より面白く迫ってくるはずです。

 
【アクセスについて】
●隠岐の島 隠岐の島町へのアクセス/境港・七類港から隠岐汽船で西郷港下船
●隠岐自然館へのアクセス/西郷港から徒歩で2分
●島根県隠岐郡隠岐の島町54-3
【WEBサイト】隠岐自然館