探県記 Vol.90

須我神社

(2016年11月)

SUGAJINJA

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日本初之宮(にほんはつのみや)であり、
和歌発祥の地である須我神社の歴史と由緒に
驚きの連続

 

須佐之男命(すさのおのみこと)が、八岐大蛇(やまたのおろち)を退治され、稲田姫を伴ってこの地に来られたとき、「吾此の地に来て、我が御心すがすがし」と仰ったことから、この地域は「須賀」という名前になったのだそう。そして、日本で初めての宮殿を造られて、美しい雲の立ち登るのをご覧になった須佐之男命は「八雲立つ 出雲八重垣 妻ごみに 八重垣つくる その八重垣を」と歌を詠まれた。こうして当地は、和歌発祥の地ともいわれています。
 

ものすごい歴史と由緒ある神社ですが、その佇まいは、こぢんまりとして慎ましい。仰々しい姿より、かえって説得力があるように感じます。
 

お話を伺ったのは、宮司の勝部和承(たかつぐ)さんです。
「最近では特に、〝やっぱり大本(おおもと)の神社がいい〟といって、県外から若い女性がたくさんいらっしゃいます」須我神社は、良縁成就や子授けに御利益のある神社です。
 

石段を上がって、拝殿へ。その後方に、県の重要文化財に指定される本殿が続いています。
この本殿、一般的には出雲大社と同じ建築方式〝大社造り〟であるといわれていますが、厳密にいえば異なっているのだそう。また、破風の妻板に施された彫刻は、前方が太陽、山側には月を見ることができます。じっくり目を凝らしてみると、あちらこちらに驚きの意匠が施されていて、神社にはこんな楽しみ方もあったのかと実感できます。
 

境内には、樹齢450年とも700年ともいわれる杉の大樹をはじめ、幾本もの木々が日影をつくり、吹く風も爽やかで「本当にすがすがしい! 須佐之男命も、きっとこんな気持ちだったんですね」と谷夏海隊員です。
 

 

一行はこの日、幸運な事に、伊勢神宮からお下げ渡しになったという御神宝2点「梓弓」と「御櫛箱」を拝見させていただくことが出来ました。島根県でも、出雲大社とここ須我神社だけという、大変貴重な御神宝。今後は、お祭りの際に展示されるということです。
 

 

山道を登って辿り着く須我神社の奥宮は
仲むつまじい巨岩家族でした

 
「須我神社は、昔から、本社と奥宮の両方をお詣りしていただく、〝二宮詣り〟の習わしがあります。禊場(みそぎば)の滝でよく清めて行かないと、マムシに噛まれるかもしれませんよ」と、勝部宮司に見送られて、奥宮を目指します。
 

須我神社から山の方角へ約2㎞、八雲山の登山口に到着。奥宮とは、須佐之男命御岩座夫婦岩のことで、斜面を約400m登った場所に祀られています。これまでも色んなスポットで鍛えてきた健脚ですから、禊場での一息を入れて、約10分で登頂。
 

「想像以上に大きい! 自然そのままの姿なんて不思議ですね。大中小あるのは家族ということですか」と木内キャプテン。
一番大きな岩はお父さんで、須佐之男命。地上に出ている部分だけでも6mという大きさです。その次に大きい岩はお母さんの稲田姫、一番小さな岩が子供で八島野命になっています。なんでも、この3つの岩の配置は絶妙で、日本庭園を作庭する際の岩の配置見本になっているのだといいます。
 

山陰には、まだまだたくさんありそうな、足を運ばなくては感動できないもの、お話を聞かなければ感心できないもの。これからもいろんな山陰を紹介したいと改めて思わせてもらえた、須我神社への訪問でした。拝礼。
 

【アクセスについて】
●須我神社へのアクセス/JR松江駅より大東行き一畑バスで須賀バス停下車、徒歩3分
●島根県雲南市大東町須賀260

【WEBサイト】須我神社