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STORY
オーナーパティシエ独自の美学で彩られた「シンプルで おいしい」スイーツの世界
島根県にある「HAPPY SWEETS FACTORY」が手がけるふんわりしっとり生地に濃厚生クリームをたっぷりとサンドしてある【生クリームサンドAWASE】。何度でも食べたくなる美味しさです。
商品詳細宍道湖を臨む島根県立美術館から車で約5分程の距離、松江市上乃木の住宅街に、カフェやセレクトショップ、ヘアサロンなどが集まる複合施設「MONOTONE」があります。古民家がリノベーションされた01WHITE棟と、高台で存在感を放つ02BLACK棟から成るモダンなエリアは、丁寧な暮らしを心がける人たちを惹きつける魅力的な場所となっています。
お話をうかがったのは、02BLACK棟の2階で、2024年5月、パティスリー「HAPPY SWEETS FACTORY」をオープンされた吉岡徹さん。奥さま菜緒美さんのアシストを得て、多忙なお菓子づくりの日々を送っていらっしゃるオーナーパティシエです。
駐車場から階段を上り店内へ。コンクリート打ち放し風のグレートーンを基調とした店内は、とてもスタイリッシュな空間。冷蔵ショーケースには洋生菓子が、マルシェコーナーには焼き立ての焼き菓子が並び、壁面のギフトエリアにはクッキーやガレット、ラスクやフィナンシェなど豊富な商品が美しく並んでいて目移り必至。そして感動的なのが、店頭に並ぶこれら商品の全てが、吉岡さんおひとりの手づくりだということなのです。


実家の和菓子屋から飛び出して洋菓子の道を歩む
実は吉岡さん、出雲市斐川町の和菓子屋「吉岡製菓」さんのご長男。現在お店は、お父さんと弟さんが営まれていて安泰ですが、ご本人がなぜ洋菓子の道へと進まれたのか、気になるところです。
「和菓子屋に生まれ育ちましたが、僕は洋菓子がずっとやりたかった。洋菓子ってフルーツをよく使うじゃないですか。そこで、フルーツが適正に育つには水と土が大事で、窒素・リン酸・カリウムが必要不可欠な栄養素。それを学ぶには農学だ!」と閃き、島根大学の生物資源科学部に進学されたというわけです。

そして、島大卒業後は、愛知県岡崎市のシュークリーム専門店「卵小屋(たまごや)」さんで修業をスタートさせ、兵庫県三田市の人気店「パティシエ エス コヤマ」で長く修業。その間、フランス研修をはじめ、上海や韓国など海外での貴重な経験を積むことに。その後は、ブライダル大手「ノバレーゼ」でウエディングケーキとフレンチコースのデザートを担当するなど着実にキャリアアップを果たして島根に戻り、地元のパティスリーからブライダル会社を経て独立。2024年5月「HAPPY SWEETS FACTORY」が産声をあげたのです。
ロールケーキにならなかった生クリームサンド[AWASE]
「僕は既存の何かをなぞることが嫌いなので。自分オリジナルのスペシャリテをつくりたかった」
こうして完成されたのが、HAPPY SWEETS FACTORYのスペシャリテともいえる生クリームサンド[AWASE]です。しっとり焼かれた2つのビスキュイで、濃厚な生クリームをサンド。どこか懐かしいような、初め味わう感覚のような、シンプルでいてなんとも贅沢なスイーツには、次のようなストーリーがありました。

ビスキュイと生クリームのコンビといえばロールケーキを思い浮かべますが、吉岡さんの出した答えはそうならなかったのです。
「鉄板で焼き上げたビスキュイに生クリームを巻いてロールケーキにするのが通常。しかし、巻くってことは内周が圧縮され、外周は引き伸ばされることになる。それでは、せっかく自然に成立しているベストな気泡に負荷をかけてしまうわけだから不本意。ストレスのかかっていない最もベストな状態で食べていただきたいから、このカタチになりました」
吉岡さんは、研究のように幾度も試作を重ねて、ベントな状態を導くことに成功。こうして生まれたのが、切り分けたビスキュイに生クリームを絞り入れる新しい生クリームサンド[AWASE]なのです。
生クリームに関しては⎯⎯⎯
「乳脂肪分は触れば触るほど劣化するというデータが出ていて。ホイップした生クリームを劣化させないためには、極力触らないことが一番。ですから塗ることはせず、負荷の少ない絞りで生クリームを食べていただけるようにしています」
ビスキュイに関しては⎯⎯⎯
「洋菓子のふんわり軽いスポンジ生地とは少し違います。かといって、和菓子のカステラでもない。洋菓子のように軽い生地だけれど、和菓子であるカステラの蜂蜜の感じを入れ込んでいます」
なるほど。洋菓子と和菓子、その両方の技術を熟知した吉岡さんでなければ生まれなかったスイーツなのです。

日本人に合う[カヌレ]を年齢関係なく食べていただくために
吉岡さんは修行中、フランスでカヌレづくりを習得。蜜蝋でコーティングされている現地のカヌレは、とにかく固いのだそう。そんなカヌレにまつわるエピソードを話してくださいました。
「修業で行っていたフランスのお店に常連のおじいちゃんがいらしたので、”僕のつくったカヌレおいしいですよ”とすすめたのですが、” 固いカヌレは歯が悪いから食べられない”といわれて、なんだか切なくなって」
この出来事が忘れられない吉岡さんは「もっと柔らかく食べやすくしよう」と試作に取りかかりました。
水分値を測って、木次牛乳の割合をどのくらいまで伸ばせば柔らかくなるのかも幾度となく測定。さらに、表面は蜜蝋ではなくバターでコーティングすることにして、ついに、歯が悪くても食べていただける柔らかさで、糖度も低く抑えたカヌレが誕生したのです。

さらに、冷凍の個包装でお届けする場合に限っては、スチームを当て蒸し焼きにすることで、より柔らかなカヌレに仕上げられています。
洋菓子の世界へ導いてくれた思い出の[シュークリーム]から生まれた
吉岡さんには、忘れられない思い出の味があるといいます。それは高校時代⎯⎯⎯
「地元のお店に、おいしいシュークリームがあったんです。吉岡製菓でバイトしたお金で買いに行くのが楽しみでした」
ところが、ある日、吉岡少年は、いつものシュークリームの味が変わっていることに気づきます。
「当時の僕にとって、それは衝撃すぎて、絶望で。部活でしごかれた時の、大切な回復薬でもあったのに。そのときに思ったんです。”自分でつくるしかないな。和菓子ではなく、僕は洋菓子だ!”と」
そんな可愛いエピソードが、人気パティシエ誕生のきっかけになっていたなんて。当時のシュークリームに感謝です。


グランドオープンに向けて試作を重ねて、直前に完成した吉岡さんのシュークリーム。
木次牛乳でつくったシュー生地に、中に入れるクリームも木次牛乳で炊いたカスタードに北海道の生クリームを合わせてつくられています。
思い出の味になりましたか? とたずねてみると、「似てはいますが、今僕がおいしいと思える乳感が強めのシュークリームになっています」と話してくださいました。
五感に訴えかける「シンプルで おいしそう」な引き算のスイーツ

「僕はシンプルが一番おいしいと思ってスイーツづくりをしています。そのために、詳細なデータをグラフ化することを大切しています。でも、僕がこだわる小難しい背景はどうかお気になさらず、ご自分へのプチご褒美として、ぜひ食べていただきたい」と、吉岡さんのメッセージを受け取りました。
HAPPY SWEETS FACTORYのスイーツには、ひと味もふた味もおいしくしてくれるような、素敵なストーリーが宿っています。
島根県にある「HAPPY SWEETS FACTORY」が手がけるふんわりしっとり生地に濃厚生クリームをたっぷりとサンドしてある【生クリームサンドAWASE】。何度でも食べたくなる美味しさです。
商品詳細
住所:〒690-0015 島根県松江市上乃木5-2-14 2F
TEL:0852–78-2774
Instagram @happy_sweets_factory