わたしが暮らす松江市のお隣、安来市在住の友人の「安来のおじ」(芸名です)が作詞作曲した「水の都に雨が降る」という歌があって、よく歌わせてもらっている。いや、よく歌わせてもらっているどころの騒ぎではなく、ほとんど自分の歌であるかのように歌っている(笑)。「安来のおじ」は別名ノグチアツシの名前で活動もするシンガーソングライターだが、「水の都に雨が降る」はたくさんある彼の曲の中でもトップ3に入る傑作だ。彼のCDに入っていたその曲に感動して、初めて自分で歌って披露したのは、大阪のライブハウスで。お客の反応がとてもよかった。以来ずっと、特に初めての場所では自己紹介も兼ねてこの歌を歌うことが多い。聴いた人は「松江に行ってみたくなった」とか「なぜか懐かしく感じた」といった感想を持つようだ。しっとりと雨に濡れる城下町の情景が浮かぶようなその歌は松江市の歌にしたっていいと思うくらいだ。いつかこんなよい歌をわたしも書いてみたいと思うのだけれど、なかなかうまくいかない。彼がこの歌を書けたのはきっと、松江ではなく安来市在住だから。身近すぎるとその良さにも気づけないし、少し離れた場所から眺めてみるということもできない。安来に暮らしてあちこち行き来する彼の距離感だからこそ書けた歌なのだと思う。JR松江駅では雨の日になるとコンコースにこの歌が流れる。雨の日にしか聞けない歌なのですよ。実はわたしも安来のおじも、超が付くほどの晴れ女、晴れ男ではあるけれど。雨の松江へどうぞお出かけを。
1964年出雲市生まれ、松江市在住。'98年暮れ1stアルバム『mariko』をリリース。'04年7月MBS・TBS系ドキュメンタリー番組「情熱大陸」に出演。'08年演出家久世光彦のエッセイ「マイ・ラスト・ソング」を題材にした音楽舞台で女優小泉今日子(朗読)と共演。年数回のペースで継続。'09年3月NHKドラマスペシャル「白洲次郎」にて『しゃれこうべと大砲』が挿入歌に起用される。'11年資生堂アースケアプロジェクトCMに『LOVE YOU LONG』を書き下ろす。 '17年2月久保田麻琴プロデュースのアルバム「Town Girl Blue」をリリース。全国の熱いファンに支えられて歌の旅を続ける。
仁風閣は、明治 40 年に建てられたフレンチルネッサンス様式の本格的洋風建築で国指定重要文化財です。時の皇太子殿下(後の大正天皇)の山陰地方行啓における宿泊所として、旧鳥取藩主池田家第 14 代当主池田仲博が旧鳥取城内に建てました。
白亜の洋館としての外観だけでなく、暖炉やシャンデリア・カーテンボックスなど豪華な内装、日常生活では経験できない明治の空気感を味わうことができるのが魅力です。また鳥取城跡の重層的な石垣、桜や紅葉など色鮮やかな自然空間を仁風閣と合わせて楽しむため、県内外から多くの観光客が訪れます。特に城跡とのコントラストは息を飲むほどで、国内はもとより外国メディアにも美しい異空間として紹介されています。最近では映画「るろうに剣心」のロケ地としても知られており、江戸の雫と明治の息吹が混在する場所として選ばれたのも頷けます。
『瑞風』のお客様には、県東部の民俗芸能「麒麟獅子舞」をご披露し、館内をご覧いただく予定です。中国地方屈指の明治建築でのひと時、鳥取の魅力を再発見していただけるよう、こまやかで行き渡ったおもてなしでお待ちしております。
国指定重要文化財 仁風閣
所長
鳥取県鳥取市出身。新たな取組みを展開中の中国地方屈指の明治建築「仁風閣」や、保存整備事業が進む「鳥取城跡」の魅力を情報発信しできればと思っています。また、TERU功山としてポップス尺八活動中。