皆生温泉には「皆生小唄」という、地元に親しまれてきた新民謡があります。「海に湯が湧く 米子の皆生~」の一節からはじまる詞の作者は、野口雨情さん。昭和11年に皆生温泉を訪れた際に作られたとされ、その三番目の歌詞をしたためたご本人直筆の書が当館ロビーに飾られています。
「雲にかくれて 大山見えぬ 皆生松原雨となる」
目の前に日本海が広がり、東に大山を望み、白砂青松の海岸線が続く、皆生温泉の美しい景色を叙情豊かに綴った雨情さんの歌詞の中に、今も変わらず大切にしたい皆生温泉の魅力が詰まっているように思います。
今年、皆生温泉は開発百周年の節目を迎えました。三月には皆生温泉から境港まで全長約16㎞のサイクリングコースが開通するなど、お客さまにより楽しんでいただける環境整備や、イベントを準備してまいりました。その矢先の新型コロナウイルスの災禍で、皆生温泉も大変厳しい状況を迎えております。厳しい状況下ではありますが、当館におきましても、常連のお客様方からの数多くの温かな励ましのお言葉をいただき、それを力にこの与えられた時間をプラスと捉え、館内のメンテナンスやお料理の試作、お取り寄せ事業など、新しいニーズに合わせたサービスの準備を進めているところです。
当館に限らず、皆生温泉のどの旅館も同じように頑張っておられます。手を取り合いながらこの難局を乗り越え、さらに磨き上げたサービスでお客様をお迎えできるよう万全な体制を整えてまいります。どうかその日まで、皆様におかれましてもご自愛いただき、ぜひ新たな魅力に溢れた皆生温泉を訪れていただきますようお願い申し上げます。