琴浦町の花見潟墓地(はなみがたぼち)に、鎌倉時代の石塔2基がある。平安時代の陰陽師(おんみょうじ)の2大スター、安倍晴明(あべのせいめい)と蘆屋道満(あしやどうまん)の供養塔だと伝わる。いったい誰が、何のために、こんな立派なものを造ったのだろうか?この謎が、最近解明されてきた。
著名な地元歴史研究者によると、陰陽道の修行僧の誰かが、晴明や道満の霊力や呪術力を授かりたいと願い、当時流行していた疫病退散を祈念して2人の供養塔を建立したのではないか。
この謎解きを裏付ける「山伏松」跡地、古くから修験道の修行場であった「船上山」(後醍醐天皇の建武新政の出発地)も近い。
「花見潟墓地」は、海岸近くに広がる墓石2万余基が建つ西日本最大級の自然発生墓地。『怪談』で有名な小泉八雲も〝霊気〟を感じた場所。謎解きのきっかけになった古文書は、国の重要文化財「河本家」で発見された。この古民家も同じ町内にある。
琴浦町を訪れ、謎解きツアーを楽しむのも一興だ。