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かつて、大河ドラマの中でも描かれた後醍醐天皇の一大リベンジ物語。
鳥取県の中部にそびえる船上山も歴史を動かした舞台のひとつとして登場しています。
船上山は、中国地方の最高峰・大山の噴火で誕生した外輪山の一部といわれ、
いまも個性的な自然が四季折々に際立って訪れる人々をやさしく包みこんでくれる場所。
その豊かな裾野は、末広がりに日本海へと続き、
思いがけず山と海の両方をいっぺんに堪能できる、かなり優良な観光エリアになっています。

ときは鎌倉時代末期、幕府が政治の中心であった乱世を憂え、朝廷中心の政治を取り戻そうとしたのが後醍醐天皇でした。
しかし、その倒幕計画がバレてしまい、隠岐諸島(島根県)へと流刑に処されてしまいます。
それでも怯まなかった後醍醐天皇は、わずか1年後、流刑地からの脱出に成功。当初、出雲国(島根県)を目指したらしいのですが、幕府軍の兵に阻まれてしまい上陸を断念します。そこで後醍醐天皇は、当時、天台宗智積寺があったと伝わる伯耆国(鳥取県)の船上山へと進路を変更したのだとか―。
また一説では、後醍醐天皇の乗った船が強い西風に流されてしまい、たまたま出雲国のお隣の伯耆国に漂着したのだとか―。

とにもかくにも、後醍醐天皇は、伯耆国の名和湊に上陸。地元の豪族で弓の名手と謳われた名和長年の勢力を味方につけて、いざ船上山へ―。1333年2月28日の出来事だったと伝わります。
そして翌日には、幕府軍が押し寄せて船上山合戦が勃発。このとき、幕府軍3000人に対して、名和軍はその20分の1のわずか150人。数字だけを見ると負け戦と思われますが、3日間の激戦を繰り広げ、なんと劇的な勝利を収めたのです。

船上山合戦 船上山合戦

その勝因は、ひとつに船上山の地形があったと考えられています。標高615mと決して高い山ではありませんが、一方は大山と峰続きで、三方が断崖絶壁という、まさに天然の要害。名和長年たちもきっと、その地の利を熟知していたのでしょう。
さらに、こんな機転も効かせています。それは、近隣の武士たちの家紋を描いた幟旗を隙間なく立て、大軍に見えるようカムフラージュ。幕府軍はその戦略にまんまとハマり、大軍と勘違いして怖気づき撤退したというのです。

船上山行宮跡 船上山行宮跡

こうして、合戦に勝利した後醍醐天皇は、船上山の頂上に行宮(あんぐう)を建て、約80日間滞在。倒幕計画を練り上げて京の都へと帰還を果たしたのでした。
現在、後醍醐天皇の行宮跡は「船上山行宮跡」として国指定の史跡になっています。
なお、船上山の最高点は687mで、現在、船上神社のある地点。その奥ノ院には、後醍醐天皇が祀られています。

古石塔群
船上神社 船上神社
船上神社奥の院 船上神社奥の院
手ぶらキャンプにフィンランド式サウナ!登山やハイキングだけじゃない船上山の遊び方
雄滝 雄滝
雌滝 雌滝
船上山千丈のぞき 船上山千丈のぞき

船上山は、古くは山岳仏教が栄えていた山。大山、美徳山(三徳山)とともに伯耆三嶺と呼ばれた修験道の霊場でした。そんな厳しい修行のための山だった船上山には、現在、一般的な東坂コースや、後醍醐天皇が通られたという険しい西坂コースなど、あわせて7つの登山コースが設定されていて、多くのクライマーたちで賑わっています。


また、山の形が船底に似ていることから船上山という名前になったと伝わるように、頂上は広くて平らな地形で、整備の行き届いたハイキングコースになっています。


雄滝 雄滝

東側は、山腹一帯にわたって約100万年前に形成された柱状節理による幅600mもの溶岩壁が屹立。これが船上山の特徴である、その名も屏風岩です。
南側には、高さ100m程の岩場から勢いよく垂直に流れ落ちる雄滝(おんだき)と雌滝(めんだき)があり、千丈滝の総称で呼ばれています。


雌滝 雌滝

そして、屏風岩の南側の突端に立ち、足下の荒々しい断崖絶壁をのぞき込めるポイントが千丈のぞき。高所恐怖症でなくても足がすくんでしまう人もいれば、ロッククライミングをする人もいる――。どうやらこの場所は、自分の足と目で判断するしかないようです。


船上山千丈のぞき 船上山千丈のぞき

屏風岩の裾野から横手道までの間に広がる草原では、3年に1度、4月に山焼きが行われています。17haの草原がオレンジ色の炎に焼かれる光景は圧巻。その昔は、屋根の葺き替えに使う茅の新芽を得るためなどに行われていたのだそう。現在は、山火事の防止や病害虫の駆除、景観保全のために実施されています。
青々しく爽やかな夏の草原の景色は、この山焼きのおかげで見ることができているんですね。

船上山の東に位置するところには、「一向平キャンプ場」があります。2020年にリニューアルオープンされ、同時に本場フィンランド式サウナもオープン。山キャンプで本格サウナなんて! 他所ではなかなかお目にかかれない贅沢なアウトドア体験が整っているんです。

キャンプ場から「日本の滝百選」に選ばれている大山滝を目指すハイキングコースも人気のひとつ。途中には、深い渓谷に架る高さ30m・長さ45mの大山滝大吊橋があり、癒しとスリルの両方を味わうことができます。

大山滝 大山滝

一向平(いっこうがなる)キャンプ場

国立公園の大自然をステージに、2020年6月リニューアルオープンしたキャンプ場。アウトドア通販大手ナチュラム社とのコラボによる「手ぶらキャンプ」を国内キャンプ場で初めて実現。初心者でも気軽にオシャレにアウトドアを体験できるうれしい施設です。

鳥取県東伯郡琴浦町野井倉688-130
受付時間:10:00~19:00
お問い合わせ:070-2161-3315
JR山陰本線「浦安」駅よりタクシーで約30分

フィンランド式サウナ

一向平キャンプ場に誕生したネイチャーサウナは、サウナ専門メディア「サウナタイム」がプロデュース。フィンランド政府観光局も認めた本格的なフィンランド式で、サウナストーンに水をかけるセルフロウリュや、大山滝のかけ流し水風呂が心身ともに癒してくれる新しいスタイルのアウトドアスポット。ことにサウナには、プロフェッショナル・アウフギーサー(熱波師)・五塔熱子さんも所属していて、時々アウフグースも受けられるることでも話題に。蒸気をバスタオルでさばき、ゲストに扇ぎかけるパフォーマンスは痛快です。

営業時間:10:00~17:00
キャンプ利用者は土曜19:00~20:00、
日曜9:00~10:00も利用可

お問い合わせ:070-2161-3315
定休日: 火・水曜日、冬季

ととのう とっとり

2021年11月にサウナを通じて鳥取県を知る&楽しむ&行きたくなる webサイト「ととのう とっとり」公式サイトがオープン。 五塔熱子さんがCEA(最高経営アウフギーザー)として在籍されています。 現在鳥取県は県をあげて「サウナツーリズム」を推進中。

webサイト: https://totonou-tottori.jp/

パワーをもらいに!さあ夏の海へ

船上山から日本海沿岸までは、約15kmほどの距離。山と海の両方をムリなくいっぺんに楽しめる ! そんなところも琴浦町の魅力です。では、一気に海岸まで行くことにしましょう。

海岸近くの細い道を抜けると視界が一気に開けて、丸みを帯びた無数の石が約500mにわたって浜を形成しています。ここが、鳴り石の浜。打ち寄せる波が沖に引いて行くとき「カラコロ カラコロ」と心地よい音を奏でることが、この浜の名前の由来。 そしていつのころからか、石が「よく鳴る」海岸は、運気が「良く成る」パワースポットになりました。浜の石に願い事を書いて海に投げると、その願い事が叶えられるのだとか。これは、試してみたくなりますね。

夏になると、この鳴り石の浜の周辺には、約2000本の花が咲くひまわり畑が出現します。全国的にも珍しい海辺のひまわり畑は、阪神淡路大震災由来の種からはじまった「はるかのひまわり絆プロジェクト」が発祥。当地では、東日本大震災の被災地である岩手県陸前高田市から譲り受けたプロジェクトの種を大切に育て、そして毎年咲かせています。
その目的は「災害の悲惨さとともに命の尊さを再考する機会にして、“人の尊厳”と“人との関わりの大切さ”を知る感性豊かな地域社会を醸成すること」というもの。
ひまわりの花の見頃は、例年7月上旬から8月上旬と、8月中旬から下旬の2回。青い海と空に映えるひまわり畑は、きっと夏の日のあざやかな思い出になるのでしょう。

鳴り石の浜から、それほど遠くない場所に八橋海岸があります。同じ海岸線なのに、こちらは白い砂浜が美しい海岸。『怪談』などの著作で知られる小泉八雲ご夫婦が新婚旅行で訪れたという、ロマンチックな砂浜なんです。

鳴り石の浜の夕日 鳴り石の浜の夕日
八橋小泉八雲来訪碑 八橋小泉八雲来訪碑
光の鏝絵 光の鏝絵

海岸から少しだけ内陸へ戻ると、なんだかおもしろい町に出会えます。
それは、光の鏝絵(みつのこてえ)という一種のアートエリア。左官職人さんが、鏝という道具を使い漆喰で絵を浮き彫りにして、蔵の壁や窓などに装飾を施したものを鏝絵といいます。
そんな鏝絵を、27戸というまとまった数で見ることができるのが琴浦町の光地区で、日本一の規模であるといわれています。

歴史だって、自然だって、グルメだって、まだまだ紹介しきれないスポットが、訪れる人々を待っていてくれる琴浦町。山派か―、海派か―、そんなことは関係なしに、この夏、奥深い両方の魅力を、がぜん体感したくなりました。

道の駅 琴の浦

地元の食材を活かしたお食事や、山陰各地のお土産物などが、楽しく揃う山陰道のオアシス。山陰の魅力的な特産品が集められた物産館や、旬な鮮魚を販売する鮮魚店でお土産を選び、日本海を眺めるフードコートで「海鮮丼」や「ジャンボエビフライタワー」、「あごカツカレー」など目にも楽しいグルメに舌鼓。山陰の旅のアクセントになってくれる場所です。

鳥取県東伯郡琴浦町別所1030-1
営業時間:9:00~18:00 お問い合わせ : 0858-55-7811
JR山陰本線「浦安」駅よりタクシーで約10分

くつろぎ亭ひこべえ

牛骨ラーメンや東伯牛ステーキ丼、各種定食など、鳥取県ならではの食材を活かしたメニューに定評のある居酒屋さん。鳥取県産の東伯牛を使用し、自家製の味噌ダレをかけた和風ステーキ「東伯牛ステーキ丼サラダ付(税込1,045円)」が店主のイチオシ。気取らずゆっくりおいしい時間を過ごせるのがうれしいお店です。

鳥取県東伯郡琴浦町八橋171-8
営業時間 昼11:00~14:00
     夜17:00~22:00
お問い合わせ : 0858-52-1028
定休日:日曜日
JR山陰本線「八橋」駅より徒歩約12分

あぶい蒲鉾

創業130余年の、手作りかまぼこの名店。鳥取県内で水揚げされた琴浦町の町魚あご(トビウオ)を使用した「琴浦あごカツカレーバーガー(税込600円)」が人気テレビ番組で紹介されました。
注文を受けてから揚げてくれるお魚コロッケや天ぷらなど、出来たてのおいしさは格別です。

鳥取県東伯郡琴浦町八橋363-2
営業時間:9:00~18:00
お問い合わせ : 0858-52-2750
定休日 : 水曜日
JR山陰本線「八橋」駅より徒歩約8分

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