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Vol.26

潮風ファーム隠岐牛

 

島生まれ、島育ち、隠岐牛
「幻」と言われるその理由は?

 
潮風が吹きつける島特有の急斜面は、どう見ても足場がいいはずはないのに、そこにあるのは、悠々と牧草を食べる牛たちの群。
彼らは、ミネラルを豊富に含んだ牧草でたっぷり栄養をつけ、放牧される急斜面でしっかり足腰を鍛える、「島生まれ、島育ち」の隠岐の牛たちです。

 
隠岐牛とは、隠岐島で生まれ、隠岐島で育った、出産経験のない雌牛で、日本食肉格付協会において肉質等級が4等級以上(5等級が最高)の牛だけに与えられる、いわば称号です。
 
もともと隠岐の牛は、島で放牧されて育つため、本土の牛に比べて足腰が丈夫で、免疫力が強くて健康。病気になることが少なかったのだそう。
 
現在、島内では年間に約1200頭の牛が生まれていますが、「隠岐牛」として出荷されるのは、そのうちの1割程度なんだとか。なるほど、肉質の良さと出荷頭数の少なさが「幻の牛」と言われる理由でした。しかも、高値が付くため、ほんどが東京へ出荷。ますます「幻の牛」というわけです。

 

こだわりは繁殖・肥育一貫生産
昔ながらのやり方で牛たちと暮らす。

 
訪ねたのは、隠岐潮風ファームさん。母体が建築業というだけあって、廃材のチップと牛糞で堆肥をつくり、海士町の田畑へ還元します。そして飼料は、出来る限り島内でまかなうよう心がけ、粗肥料についても、島内産の牧草と稲ワラにこだわっています。
 
モットーは「牛たちに、ストレスを与えない。ケガをさせない」こと。もしも傷ついたら、早期発見、早期治療。それは「人にやさしくするように、牛にやさしくする」ことでした。
「限りある命をいただいて、私たちは仕事をしている」ことを常に思う、牛たちへの深い愛情がありました。
 
牛たちも1頭1頭、性格も違えば、その日の体調だって異なります。毎日毎日、1頭1頭、しっかり見守って観察。餌だって「最後までちゃんと食べて欲しい」から、1頭1頭に適した量やブレンドに気を配っています。
 
「ものすごく毛並みがいいですね。ツヤツヤだ!」。
それが誰もが感じる牛たちの第一印象。それが大切にされている証拠です。

 
【アクセスについて】
●隠岐の島 海士町へのアクセス/境港・七類港から隠岐汽船で菱浦港下船
●潮風ファームへのアクセス/菱浦港から車で15分
●島根県隠岐郡海士町大字豊田588−1