探県記 Vol.100
日光生姜
(2017年2月)
NIKKO SYOGA
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細長い緑の葉がびっしり茂った生姜畑には
深呼吸したいほどの爽やかな香りが充満
四方を緑に囲まれた美しい集落、鳥取市気高町日光で、生姜の栽培が始まったのは江戸時代初期、今から430年以上も前のこと。鳥取城落城の後、鹿野城主・亀井茲矩(かめいこれのり)公が、御朱印船貿易により東南アジアから持ち帰ったことに由来します。
探県隊が訪ねたのは10月中旬、笹に似た細長い葉をつけた茎が1m以上にも育った、山花繁夫さんの畑です。
近くまで来ると、すでに生姜のいい香りがしています。
「これが生姜畑ですか? なんだか想像していたのと違いますね」と木内キャプテン。
普段、目にする生姜は土の中。地上の葉だけを見ても、すぐには生姜だと気づけませんでした。
11月という本格的な収穫には、まだ少し早い時期でしたが、山花さんの指南で収穫を体験。
道具を使う畑もあるそうですが、「うちは束を持って、手で引っこ抜く」とのこと。
「お~あんがい簡単に抜ける」と徳持隊員。なかなか筋がよろしいようです。
採れたての新生姜は90%が水分でみずみずしい!
香りがよく、やわらかいのが特徴です。
植田隊員が「やはり、土が大事なんでしょうね」と訊ねると、
「化成肥料や農薬などは極力減らし、鳥取県が定める環境基準の50%以下です。生姜畑は連作が続くと、病気になりやすく、土が痩せてしまうので、1年ごとに圃場をかえることも重要。ネギと大豆の作付けで、畑が荒れないようにしています」と山花さん。
全長23mの真っ暗な生姜穴は
探検にふさわしい貴重な体験でした
収穫された生姜は、山肌に開けられた「生姜穴」と呼ばれる洞窟のような貯蔵庫で保管されているというので、その生姜穴にも案内していただきました。
日光で一番大きい山花さんの生姜穴は、奥行き23m。途中、枝分かれした横穴が8つあり、それぞれの場所で新生姜・囲い生姜・種生姜が貯蔵されています。
一年中、適度な湿度と15℃前後の温度に保たれる真っ暗な生姜穴で、5ヶ月間熟成させると、余分な水分が抜けて辛みが増し、しっかりとコクのある「自然熟成 日光生姜」が出来上がるのです。
人が歩ける程度の高さに掘られた岩肌には、ノミの跡がくっきりと残っています。
「防空壕を利用しているんですか?」という木内キャプテンの疑問に
「いつの時代に掘られたのか、わからないんです。しかし防空壕ではないですね。それよりずっと昔から使われています」と山花さん。
先人たちが掘り、何代にもわたって守り続けられている生姜穴見学は、まさに探検といえる貴重な体験。
「これは素晴らしいものを見せていただいた!」と興奮気味に話す植田隊員です。
生姜穴から出ると、待っていてくださったのは、日光農産の女性メンバーさんたち。
手作りの佃煮と新生姜の甘酢漬けが用意されていて、さっそく試食。
「香りも辛みもすごくいい!」と一同絶賛の味でした。
雪が解けて、桜の花の咲く頃が、日光生姜の定植の時期。除草剤も使用しないため、特に夏の草取りには骨が折れるそうですが、「しっかりとコクのある自然の辛み」を伝承するため、山花さんたちの取り組みは続きます。
【アクセスについて】
●日光農産へのアクセス/JR山陰本線宝木駅より車で約4分
●鳥取県鳥取市気高町日光111-1
【WEBサイト】日光農産