探県記 Vol.31

隠岐国分寺蓮華会舞

(2015年8月)

OKIKOKUBUNJIRENGEMAI

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天平時代より受け継がれる伝統芸能は
雅で厳かで滑稽な、国の重要無形民俗文化財。

 
隠岐島後の西郷町に、天平13年(741)、聖武天皇によって創建された隠岐国分寺があります。
元弘2年(1332)、後醍醐天皇が隠岐に配流された際の、行在所(あんざいしょ)であったという文献も残っているほどの由緒あるお寺です。
 
ここ国分寺では、毎年4月21日、弘法大師の命日に、隠岐国分寺蓮華会舞が行われています。
日本に大陸文化が輸入された平安時代、隠岐には宮廷舞楽として伝来。現在は、地域の伝統芸能として、蓮華会舞保存会によって大切に受け継がれています。
 
平安時代から1000年以上の歴史をもつ蓮華会舞ですが、これまでに2度の憂き目に遭遇。
最初は明治初期、厳しい廃仏毀釈を受けて一度は途絶えます。けれど、住民のみなさんの懸命な努力によってみごと復活を果たしました。
次いで、平成19年(2007)2月25日、なんと本堂が全焼し、蓮華会舞の道具も全て焼失。しかし、こんなことで、蓮華会舞保存会のみなさんはへこたれませんでした。火災からわずか1年と2ヶ月後、あざやかに復興を遂げたのです。

 
 

中国、インド、バリ島など、
国際色豊かなパフォーマンスにくぎ付け。

国分寺本堂前に設営された特設舞台が、蓮華会舞のステージです。四隅には、「五穀豊穣」「天下太平」「家内安全」「国家安泰」の4本の幟(のぼり)が立てられています。
 
蓮華会舞の特徴は、中国やインドやインドネシアなど、大陸文化の面影を鮮やかに残していること。「眠り仏之舞」「獅子之舞」「太平楽之舞」「麦焼き之舞」「龍王之舞」「山神・貴徳之舞」「仏之舞」の7種の舞で構成されて、古代の舞楽や伎楽を彷彿とさせます。
 
可愛らしい童子のうたた寝の舞を、小学生2人が上手に演じる「眠り仏之舞」。
あきらかに日本的ではない獅子は、バリ島の獅子舞の流れをくむ「獅子之舞」。
 
各舞が個性的でユニークで達者で、特設舞台をぐるり取り囲んだ大勢の観客のみなさんから、舞が終わるたびにおこる、あたたかな拍手喝采。約2時間があっという間に過ぎて行きます。
 
地元の幼稚園生や小中高校生など、若い世代にきちんと伝承されている隠岐国分寺蓮華会舞。
この華やかな舞台は、保存会のみなさんの並々ならぬ尽力によって支えられているのです。

 
【アクセスについて】
●隠岐の島 隠岐の島町へのアクセス/境港・七類港から隠岐汽船で西郷港下船
●隠岐国分寺へのアクセス/西郷港より車で約11分
【WEBサイト】
隠岐国分寺蓮華会舞