探県記 Vol.30

水若酢神社・五箇創生館

(2015年7月)

MIZUWAKASU JINJA・GOKASOUSEIKAN

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水若酢神社に伝わる20年に一度の遷宮相撲
二番勝負で必ず一勝一敗、人呼んで人情相撲。

 
隠岐の島後、隠岐の島町に、神紋を十六八重菊とする、水若酢神社があります。
その縁起は明らかではありませんが、仁徳天皇の時代(5世紀前半)に創建されたと伝わります。

静かな境内にあるのは、隠岐では珍しくない土俵ですが、水若酢神社のそれは格式が高いのだそう。なぜなら水若酢神社では、20年に一度だけ、遷宮相撲が開催されています。
2013年全国公開の映画「渾身」は、遷宮相撲を題材にして錦織監督が撮った珠玉の感動作。水若酢神社で撮影が行われ、島民のみなさんがエキストラで参加されました。
 

神社の遷宮のほか、島内に祝い事があると、夜を徹して行われる隠岐古典相撲。そのルールは、二番勝負で必ず一勝一敗にすること。両力士が勝敗のしこりを残さず互いに讃え合う、島の人々の人情があらわれていて、人情相撲とも呼ばれています。

「相撲は昔の唯一の娯楽、男女のお見合いの場でもあったね」とは大巾会会長の永海治さん。
島の相撲は一度廃れた時期がありましたが、1972年に有志で大巾会を結成。このときから古典相撲と名乗ったのだそうです。
 
 

大型シアターで見る隠岐古典相撲に感涙。
都万目民家で食べた隠岐そばに感激。

 

水若酢神社から歩いてすぐの場所にある五箇創生館は、伝統芸能の牛突きや、隠岐古典相撲などの資料を展示する資料館。この日、大型シアターで上映されたのは、隠岐古典相撲のドキュメンタリー映像。その迫力と情熱に、思わず感涙。いつか本物の隠岐古典相撲を見てみたいと思えるのでした。
 
 

そろそろ時間はお昼、五箇創生館にほど近い、都万目(つまめ)民家で昼食です。
江戸時代に建てられた豪農の住まいを移築した、なんとものどかな佇まいの中、田舎料理をいただきました。

 
「おいしいおそばですね」と笑顔の御秒さん。この隠岐そばは、つなぎを入れない十割そばで、焼サバで出汁をとる隠岐の伝統料理。島の冠婚葬祭には欠かせない一品。

 

相撲にかける情熱もそう、味わい深い郷土料理もそう、心にまでじんわり染みる温かさ、それも隠岐の魅力のひとつなのです。
 

都万目民家

【アクセスについて】
●隠岐の島 隠岐の島町へのアクセス/境港・七類港から隠岐汽船で西郷港下船
●水若酢神社へのアクセス/西郷港より車で約20分
●島根県隠岐郡隠岐の島町郡615-1
【WEBサイト】
五箇創生館
水若酢神社