探県記 Vol.57
龍源寺間歩
石見銀山世界遺産センター
(2016年1月)
RYUGENJI MABU
IWAMIGINZAN SEKAIISAN CENTER
4172
かつて世界の銀の3分の1を占めた日本の銀
その多くが純度の高い石見の銀だったという事実
2007年、アジアの産業遺産として初めて、世界遺産に登録された『石見銀山遺跡とその文化的景観』は、山陰地方唯一の世界遺産です。
戦国時代から江戸時代にかけて産出された石見の銀は、その純度の高さから、国内に留まらず世界中に流通していました。最盛期には、世界に流通する銀の3分の1が日本の銀だったといわれ、その多くが石見の銀だったのだそうです。
なのに、世界遺産に登録されるまで、石見銀山は広く知られることはありませんでした。世界遺産に登録された時点でも、発掘調査が行われたのは全体のわずか0.1%だけ。逆にいえば、たったそれだけでも世界遺産にふさわしい場所だということ。なんだか、すごいじゃないですか、石見銀山。
まず、石見銀山の予備知識として行っておきたいのが、赤い石州瓦の大屋根が目印の『石見銀山世界遺産センター』。世界に影響を与えた石見銀山の歴史と鉱山技術が、出土遺物や模型などで楽しくわかりやすく紹介されています。
たとえば、一部を忠実に再現した模型・大久保間歩(まぶ)は、石見銀山最大級の坑道。武将・大久保長安が馬に乗って入ったと伝わるくらい大きな間歩なんだそうです。
山陰は不思議なことが多い場所
だからロマンをかきたてられるんです
石見銀山世界遺産センターで予習ができたら、シャトルバスで石見銀山公園まで。徒歩約40分で龍源寺間歩に到着です。
龍源寺間歩は、石見銀山に大小あわせて600カ所を超える間歩が確認されている中で唯一、常時一般公開されています。
「山師は生えている植物で鉱脈を見つけたといわれています。普通の植物は金・銀・銅などの重金属が眠る土地には育ちません。ところが、そんな重金属を好む植物がいる。ほら足元を見てください、カナヤマシダやハクサンハタザオがそれ。カドミウムに反応するようです」と、龍源寺間歩の入り口で教えてくださったのは、石見銀山ガイドの会の和上豊子さんです。
龍源寺間歩の本来の全長は600mらしいのですが、公開されているのは安全に整備された157mの距離。途中、頭上に注意しながら進むと、当時のノミの跡もクッキリわかります。間歩内に溜まった水を抜くために垂直に掘られた竪坑(たてこう)なども確認できます。
「植物の話もそうですし、手作業でこれだけの間歩を掘ったというのも、とにかく興味深い。石見銀山を筆頭に、とにかく山陰には不思議なことが多い。それがロマンをかきたてるんですよ」と内山キャプテン。
前述したように、たった0.1%の発掘調査で世界遺産に登録された石見銀山。いつか100%になる日が来るとしたら、そのときには、どんな姿を見せてくれるのでしょう。これからの石見銀山にも、こうご期待です。
【アクセスについて】
●石見銀山世界遺産センターへのアクセス/JR山陰本線仁万駅より車で約15分
●島根県大田市大森町イ1597-3
●龍源寺間歩へのアクセス/JR山陰本線仁万駅より車で石見銀銀山公園まで車で約10分、徒歩14分
●島根県大田市大森町イ1597-3
【WEBサイト】
石見銀山世界遺産センター
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