探県記 Vol.46
因幡国府跡
因幡万葉歴史館
(2015年11月)
INABAKOKUFUATO
INABAMANYOREKISHISIRYOKAN
3742
のどかな田園地帯に突如出現した1200年前の遺構 国の史跡に指定される、因幡国庁跡
鳥取県鳥取市国府町、豊かな田園風景を広々と見渡して、緑以外、何もないように思える場所に、国の史跡に指定される、因幡国庁跡があります。
昭和52年(1977)の発掘調査で、わずか20数㎝の地下から、柱根を残した多くの建物の遺構を発見。この辺り一帯が、奈良・平安・鎌倉の3つの時代を通して、政治・経済・文化の中心だったことを物語っています。
翌年の昭和53年には、国の史跡に指定され、全体の一部、約7,000㎡を史跡公園に整備。規則正しく並ぶ御影石の円柱は、発掘調査で確認された正殿の柱の位置を示しています。
「因幡国庁跡は、東に甑(こしき)山、南に今木山、西に面影山と、因幡三山に囲まれた立地。発見された遺構は、きちんと東西南北を向いているんですよ」と木谷隊員。
歴史を知らなければ変哲のない場所も、知れば知るほど万葉のロマンあふれる場所になってきます。
古代因幡国に暮らした人々の興味深い歴史と
親近感を覚える文化を紹介する、因幡万葉歴史館
〝新しき年の始めの初春の 今日降る雪のいや重(け)し吉事(よごと)〟
この歌の作者は、万葉歌人として知られる大伴家持。天平宝字2年(758)、朝廷より因幡守に遷任されて、因幡国庁に赴任しています。その翌年、因幡国庁の新春の宴で詠んだのがこの一首であり、現存最古の歌集『万葉集』の巻末最後を飾る歌なのです。
そんな大伴家持が暮らした古代因幡国の歴史と文化を紹介するのが、因幡万葉歴史館。大陸文化の影響を受けた装束や、万葉人の食事、奈良・平安時代に生きた人々の暮らし、そして、仏教文化が花開いた時代の石堂などが、わかりやすく展示されています。
体験コーナーでは、万葉衣装を着て館内見学ができるというお楽しみ付き。
「手に持つこの笏(しゃく)って、カンニングペーパーだったらしいですね」とキャプテン。さすが博識、もとは裏に紙を貼って、備忘のために儀式次第などを書いていたものなのだそうです。
施設内にはその他に、大賀ハス(古代ハス)の咲く万葉と神話の庭や、時の塔、時の広場などが充実する因幡万葉歴史館。万葉の時代に触れられる観光スポットです。
【アクセスについて】
●因幡国庁跡へのアクセス/JR因美線「津ノ井駅」より車で約13分
●鳥取県鳥取市国府町中郷
●因幡万葉歴史館へのアクセス/JR因美線「津ノ井駅」より車で約10分
●鳥取県鳥取市国府町町屋726