探県記 Vol.04
棚田
(2014年・秋)
TANADA
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プリンセス「モノノケ」を探しに、
日本の鉄の歴史を旅する。
映画「もののけ姫」がイギリスの劇団で舞台化されるなど、海の向こうでも
“たたら”は人気。きょうの探県は、プリンセス・モノノケが暮らしていた奥出雲の
たたらの里を歩いてみたいと思います。
木次線(きすきせん)のトロッコ列車「奥出雲おろち号」がやって来ました。
八川駅で降りてしばらくすると、のどかな山間風景の中に、ひときわ目を引く広大な
緑の階段が現れます。日本の棚田百選、奥出雲たたら製鉄及び棚田の文化的景観として
選出されている、大原新田です。
ここは、奥出雲を代表する歴史的価値の高い景勝地のひとつなんです。
目の前の広がる風景からは想像できないと思いますが、実はここ、かつて鉄穴場
(かんなば)と呼ばれていた所。江戸時代、たたら製鉄で栄華を極めた絲原(いとはら)家が
砂鉄採集の跡地に新たな役割を与えるべく、莫大な財と人の手を
投じてその段型の水路を水田へと開発したのだそうです。当時のすぐれた農業技術に
圧倒されます。この棚田では現在、日本穀物検定協会の米食味ランキングで、西日本で
唯一特Aを獲得した「仁多米」が作られています。
また、たたらについて学ぶなら「絲原記念館」へ。
鉄とともに歩んだ当時の人々に想いを巡らすことができます。記念館として公開中の
屋敷内を流れる清流は、製鉄の炎を盛んに上げていた大正末期まで、水力でふいごを
動かすための水路だったそうです。
たたらの里の歴史と自然、文化を
おなかいっぱい満喫しました。
もうひとつ山陰の鉄の旅に欠かせないのが、松江藩の鉄師頭取として、また日本屈指の
山林王として名を馳せた田部(たなべ)家の土蔵群です。
雲南市吉田町にあって、なまこ壁のどっしりとした蔵が18棟も整然と建ち並ぶ様は壮観の
ひと言。たたらの里を巡っておなかもすいてきたので、名物の出雲蕎麦でも。
奥出雲の蕎麦は、江戸時代には将軍家に献上されるほど珍重されていたのだとか。
出雲横田駅近くの稲田神社社務所にある「姫のそば ゆかり庵」で、香り高い十割蕎麦と
仁多米のおにぎりなど地元食材への愛が詰まったお膳に舌鼓。姫=プリンセス。
やっと見つけることができました。次に楽しみたいのは、在来種「横田小そば」を使った
幻の蕎麦。本日の探県のような歴史と自然の濃密さを感じさせる味わいだそうです。
【アクセスについて】
●大原新田へのアクセス/JR木次線八川駅より車で約10分
●絲原記念館へのアクセス/出雲三成駅より路線バス「絲原記念館前」下車すぐ
●田部家土蔵群へのアクセス/出雲市駅より広島行き高速バス「たたら場壱番地」下車、
雲南市民バス「吉田」下車、徒歩約5分
●姫のそば ゆかり庵へのアクセス/出雲横田駅より車で約8分