探県記 Vol.115

真砂地区振興センター

(2017年8月)

MASAGO CHIKU SHINNKO CENTER

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フレンチのシェフと地元の生産者さんたちが
手探りではじめた西洋野菜作り

 
季節は7月上旬。田んぼの緑が瑞々しくて美しいまち──島根県益田市波田町の〝真砂地区振興センター〟を、『レストラン ボンヌママン ノブ』のオーナーシェフ上田幸治隊員と訪ねました。

 
ここ真砂地区は、人口390人という小さな地域ですが、農業を生活基盤として食育にまで広げた取り組みを行っている、とても元気な地区。上田隊員と浅からぬ縁があるということで、お話をうかがいに来たわけです。
 
出迎えてくださったのは、真砂地区振興センターの館長、大庭完さん。
生産者を代表して、久保田敏枝さん、城市明枝さん、石川信夫さんが会いに来てくださいました。

 
それでは、まず、上田隊員と真砂地区の皆さんとの出会いは──
「今から2年半前です。TWILIGHT EXPRESS瑞風でお出しする料理の開発・監修のお話をいただいたことがきっかけでした。〝せっかくなら地元益田の野菜を使いたい!〟と大庭館長に相談したんです」こうして、上田隊員と真砂地区の生産者さんたちとの新しい取り組みがはじまったというわけです。

 
最初は、上田隊員が西洋野菜の種を買ってきて、生産者さんたちに「見たことも食べたことも、育てたこともない野菜を育ててください」というところからのスタートでした。
 
そこで、上田隊員がお願いしたのは「家庭菜園の延長のつもりで、ムリのないように作ってください」ということでした。
 
そして、具体的に野菜の使い方を理解してもらえるようにと、フランスの料理専門誌を生産者さんたちに見てもらうことにしました。それは「この位の大きさで収穫するのか」ということをわかってもらうためでした。

 

「おいしい!」の声が届けば「頑張ろう!」と思えて地域が元気になるという素晴らしいサイクル

 
生産者さんたちと上田隊員の会話には、いろんな西洋野菜の名前が登場します。
久保田さんが「4月に〝ナポリ〟の種を蒔いたんだけど、収穫時期がわからなくて。アスパラの葉みたいに育ったの」といえば──
上田隊員が「それは、日本語で〝ういきょう〟、フランス語で〝フヌイユ〟という野菜ですね。生でサラダにしてもいいし、炒めてもおいしいですよ」と答えます。

 

 
石川さんの畑で育つ〝ロメインレタス〟を見つけると──
「これはシーザーサラダとかにピッタリ。深味のある野菜なんですよね」と上田隊員。
そのほかにも、黒ダイコンや丸ズッキーニ、バナナピーマンやピーチトマトなど、名前を聞いただけでもおいしそうな野菜の名前が飛び交います。

 
現在、瑞風で提供される上田隊員監修の料理には、付け合わせだけで常に7~8種類の野菜が使われているのだそう。
先日、瑞風のクルーから、こんな便りが届いたといいます。
──お客さまから「とにかく野菜がおいしい」「いろんな野菜が食べられて嬉しかった」「野菜を販売してください」──という内容。

 
「今までは、自分たちの作った野菜のその先がわからなかったと思うんです。ですから僕は、生産者さんに、その先を見せてあげたいと思った。それが今、瑞風で実現できています」と上田隊員。

 
手探りではじまった上田隊員と真砂地区の生産者さんたちとの取り組みは、素晴らしい現象を生み出していました。
 
今では「〇〇さんの畑で、こんなのができたよ」と写真付きで、大庭館長からラインが届くまでになっているのだそう。
TWILIGHT EXPRESS瑞風には乗らなくても、上田隊員のお店で、真砂地区で育てられた西洋野菜を味わってみたいものです。

 

【アクセスについて】
●真砂地区振興センターへのアクセス/JR益田駅から車で22分
●島根県益田市波田町イ538-1
【WEBサイト】まさごプラス