探県記 Vol.60
薬師湯
(2016年2月)
YAKUSHIYU
4308
世界遺産の温泉街に建つ木造洋館で
最高評価オール5の薬師湯を浴びる
ひなびた雰囲気が、よりいっそう旅情を誘う温泉津(ゆのつ)の温泉街で、ひときわ異彩を放つ洋風建築が、最高級の天然温泉として認定される『薬師湯』です。
歴史は古く、以前より湧出していた源泉が、約150年前の浜田地震で湯量が激増。湯柱を上げて湧いたので、『震湯(しんゆ)』とも呼ばれて親しまれています。
薬師湯は、日本温泉協会に認められた最高級の天然温泉。協会の基準による審査で、全項目オール5という名誉ある認定を受けています。なんでも、オール5認定の温泉は全国でもたいへん珍しく、山陰地方では、ここ薬師湯が唯一。流れ出た溶岩のように湯の花がびっちり付着した浴槽を見れば、泉質の高さは一目瞭然。
天然温泉と、木造洋館と、手作りメニューと
古き良き大正ロマンにどっぷり浸る
「当館のお湯は火山性の温泉ではなく、岩石の間に溜まった湧水が温められもの。3年程前、地質学者の調査でわかりました。実は、炭酸も入っているんです」。そう話してくださったのは、薬師湯オーナーの内藤陽子さんです。
薬師湯では、スタッフ全員が『温泉ソムリエ』の資格を取得。より上質な温泉の楽しみ方を提供しています。
薬師湯に隣接する旧館は『震湯・カフェ内蔵丞(くらのじょう)』。大正8年に建てられた貴重な木造洋館の中で、お茶や食事が楽しめるようになっています。なかでも、石見銀山の歴史にまつわる『奉行飯』がヘルシーな手作りメニューとしておすすめです。
見事な細工の組込式天井や階段がそのままの姿で残る館内には、重厚な家具や調度品が配置されて、古き良き大正時代にタイムスリップしたような不思議な気分になれる場所。
上質な天然温泉と、建築学的にも貴重とされる木造洋館、そして手作りメニュー。その癒やしの演出は、どれも繊細で心地好く、そこには特別な時間が流れています。
【アクセスについて】
●薬師湯へのアクセス/JR山陰本線温泉津駅より町内バスで5分、薬師湯前下車すぐ
●島根県大田市温泉津町温泉津ロ−7−1
【WEBサイト】薬師湯