探県記 Vol.82
加賀神社・桂島
(2016年8月)
KAGAJINJA KATSURASHIMA
5564
元は新潜戸に祀られていた潜戸大神宮は
陸に上がり、後に加賀神社と呼ばれるようになりました。
加賀(かか)の潜戸(くけど)遊覧船が発着する〝マリンプラザしまね〟のほど近くに浮かぶ、周囲700m・面積約8ヘクタールの小さな島、桂島。現在、加賀港と桂島の間に神崎橋が架かり徒歩で行き来でき、遊歩道も整備されて、美しい湾で海水浴やシーカヤックなどマリンスポーツが楽しめる桂島園地となっています。
江戸時代、この桂島は、北前船の要港として繁栄。松江藩は水や物資の補給港として地元の物産を集積し、大阪や北陸地方へと盛んに輸送していたといいます。
そして、桂島から、ほんの数㎞離れた場所にあるのが、加賀(かか)神社。天平5年(733)に記された出雲国風土記の中で、「加賀神崎の潜戸内にお祀りしてあったものを後に、陸地に移転したものが潜戸大神である」と記さる神社です。
「1300年くらい前には、現在の新潜戸にお社があったようです」と説明してくださるのは、加賀神社の宮司、金津英隆さんです。
江戸時代までは、潜戸大神宮といわれていましたが、明治の頃から、加賀神社と呼ばれるようになったのだそう。ご祭神は、主祭神キサカヒメの命、天照大神、猿田彦の命とイザナミの尊、後に合祀されたイザナギの尊が本社にお祀りしてあります。
幅3m40cm×縦1m50cmの巨大絵馬を筆頭に
6枚の大絵馬が約200年前の繁栄を物語る
木内吾平キャプテンと小泉凡隊員、鳥居を潜り、手水舎で身を清め、参拝を終えると、金津宮司から拝殿へのお誘いがありました。山陰いいもの探県隊の益々の活躍を願って(?)、厳かにお祓いをしていただきました。
「3年ほど前に、インターネットで当神社の絵馬が紹介されて以来、参拝していただく方が、ずいぶん増えました」と金津宮司。
加賀神社の拝殿には、北前船で栄えていた時代、船主や船員の海上安全・航海安全を祈願して奉納されたという、大きな6枚の絵馬が掲げられています。
最も大きな絵馬は、幅3m40cm×縦1m50cmの〝屋島の戦い〟で、那須与一の「扇の的」と、源義経の「弓流し」の2つの場面が描かれています。
最も貴重とされるのは、青い海に浮かぶ帆船が5隻描かれた〝船絵馬〟。船の形、帆布の数、乗組員の人数などが詳細に描かれていて、回船を知る重要な資料ともいえるのだそうです。
「加賀神社は、北前船との関わりがとても深い神社なんですね」と興味深げに絵馬を見上げる木内キャプテンです。
参拝を終えて、随神門に来たあたり、一対の狛犬に注目。
「こちらは出雲型の狛犬で、随神門の外側に建つ一回り小さな狛犬は、当地ではとても珍しい大阪型です」とのこと。こんなところにも、北前船との関わりを発見することができました。
4年後の2020年は、加賀神社二十年遷宮の年。「東京オリンピックと同じ年なんですよ」と金津宮司。なるほど、東京オリンピックが近付いたなら、「加賀神社二十年遷宮も、もうすぐなんだな」と思い出せるきっかけになるというわけです。
【アクセスについて】
●加賀神社へのアクセス/JR松江駅より車で約24分
●島根県松江市島根町加賀1490
【WEBサイト】水の都 松江