探県記 Vol.128
スナハラのスモークナッツ
(2018年5月)
SUNAHARA NO SMOKED NUTS
11275
ナッツ専用の大型燻製器を自社開発!
じっくり低温のスモークから生まれる
ナッツ本来の旨みと豊かな芳ばしさ
スモークナッツって、ご存知ですか? 近年、健康や美容にもよい食品として、熱い視線が寄せられているナッツ。それを燻製にしたもので、居酒屋やバーなどのおつまみとして静かなブームを呼んでいます。
ポリポリ食べてみると・・・・。噛むほどにナッツ本来の旨みと、芳醇な燻製の香りが口の中いっぱいに広がり、後味の余韻も豊かでクセになりそう。
一般に販売されているスモークナッツは、燻液や燻製パウダーで味付けされたものも多い。そんな中で島根県松江市の「スナハラ」は、本格的な燻製にこだわった商品を製造しています。
元々、「同社はおつまみの卸会社でしたが、今は製造会社になり国内大手の食品問屋から受託製造を受け、ここ数年で関東を中心にスモークナッツの出荷を拡大しています」社長の砂原誠さんに、経緯をお聞きしてみました。
「8年前、東京にはスモークナッツがあると、知人から教えてもらったのがきっかけです。自宅の玄関に簡単な燻製器を置いて、夜な夜な試作していました」と当初は苦労の連続だったそうです。
それから2年近く、数え切れないほどの試作を積み重ね、ようやくスモークナッツの製造を決意。しかし、今度は量産に向けて、燻製器の壁が立ちはだかりました。大型の国産器はソーセージやハムなどを作るための構造設計が多く、ナッツに最適の燻製器がなかったのです。そこで、自ら開発することに。
「地元の力で開発したいという気持ちがありました。幸いにも雲南市の機械メーカーから、ご協力をいただくことができました。密閉性があまりに良くて内部が膨張して扉が壊れたり、気圧が上がって燃料のチップが燃え上がったり、ひとつずつ解決していきました」
こうして、オリジナルのナッツ専用燻製1号機が完成。ついに、スモークナッツ製造工場を立ち上げました。
現在は、さらに改良を加えた3号機5台がフル稼働。それでもすべての受注には応えられず、来年は20台まで設置できる新工場をスタート予定です。
ひと言で「桜」といっても千差万別
豊かな風味のナッツに仕上がるのは
「雲南山桜」のスモークチップだから
スナハラではナッツの種類や焙煎方法にもこだわり、国内の加工業者が焙煎したナッツを仕入れてカリッとした食感に仕上げています。風味付けの決め手となる燻製用スモークチップは、島根県雲南市加茂町の製材所が生産する、山桜のスモークチップが使用されています。
「桜の種類や品種によって、仕上がる風味がまったく違います。豊かな自然に囲まれて育った雲南産の山桜を使うと苦味が少なく、奥深い香りが付きます」と語る砂原社長。おいしさの追求では、地元の自然も役立っていました。
燻製工程では、ナッツの種類や状態に合わせてスモークをかける時間を変え、その日の気候や湿度などにより、微細な時間調整が行われています。
ちょうど、ピーナッツの燻製に立ち合うことができました。スモークをかけ終わり、燻製器の扉が開かれると、一気に白煙が部屋中に立ち込めて先が見えないほど。この瞬間のピーナッツは、まだ苦味が強く、1日ほど休ませて乾燥させると味と香りが馴染んで、ぐっとまろやかになるそうです。
スモークナッツはワインやビール、日本酒にも合います。とりわけ樽で熟成させるウイスキーとの相性は抜群。酔えば酔うほどおいしく感じられ、地元の知られざる力を秘めた山陰土産としても喜ばれそうです。
【アクセスについて】
●株式会社スナハラへのアクセス/JR来待駅から車で10分
●島根県松江市宍道町白石77-43
【WEBサイト】おつまみのスナハラ