探県記 Vol.14

一畑薬師

(2015年3月)

ICHIBATA-YAKUSHI

2171

海から薬師如来像を引き揚げたのが始まり

 
標高200mの一畑山の頂に、薬師信仰の総本山、一畑薬師として知られる一畑寺はあります。美保神社に続き、歴史学者・藤岡大拙隊員のもと、御秒奈々隊員、私内山が巡りました。
 

 

創開は平安時代、寛平6年(894)。
「奇しくも“やくし(薬師)”の年。偶然とは思えないですよね。」と藤岡大拙隊員。ひとりの漁師が海から薬師如来像を引き揚げて、お祀りしたのが始まりです。その後、盲目の母の目が開いたり、戦国の時代に幼い子どもたちの命が助かったりしたことから、目のお薬師様、子どもの無事成長の仏様として、広く信仰されています。8万坪という広大な境内を巡り、
「見応え十分で驚きました。」と御秒奈々隊員。
薬師本堂をはじめ、八万四千仏堂、観音堂、十六羅漢堂などが鎮座しています。
 

 

眼病に効くといわれるお茶湯

 

 

 

『お茶湯(ちゃとう)』と呼ばれる特別なお茶があります。境内の薬草畑『一の畑』で採れたお茶の葉を煎じ、一畑山に湧き出る清水で淹れ、薬師如来にお供えして、ご祈念したもの。創開当時から、万病に効くといわれ、ことに眼病を患っている人は、まぶたの上にお茶を塗り、両手を合わせてご真言を唱えていただくことで、目を守ってくださると伝えられています。
 出雲地方に縁の深い小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)は、10代の頃にケガをして左目を失明していたため、このお茶湯を持ち帰ったといわれるほど。
先百年を超える霊場のパワーを体中に浴びた探県となりました。
 
【アクセスについて】
●一畑電車北松江線伊野灘駅から車で約20分
●島根県出雲市小境町