探県記 Vol.59
龍御前神社
(2016年2月)
TATSUNOGOZENJINJA
4306
世界遺産に指定される温泉街の守り神
8柱の神様をお祀りする龍御前神社(たつのごぜんじんじゃ)
温泉津温泉(ゆのつおんせん)の町並みは、国の重要伝統的建造物群保存地区であり、世界遺産に登録される『石見銀山遺跡とその文化的景観』の一画。廻船問屋を営んだお屋敷や、石州瓦を乗せた古い家々、大正ロマン薫る洋館など、ノスタルジックな雰囲気が漂っています。
かつて、石見銀山で採れる銀の積み出し港として栄えた温泉津港から続く、温泉津の温泉街には、当時、30軒ともいわれる廻船問屋が店を構えていたといいます。そして、銀山で働く人や、湯治に訪れる客などで、それはたいへん賑わっていました。
そんな温泉街を見守るように鎮座するのが、海上安全、豊漁、温泉医療などの守り神、龍御前神社です。
創建は、天文元年(1532)と伝わります。主祭神は、国造りと医療の神である大巳貴命(大国主命)、温泉の神である少彦名命、海の守護神である豊玉姫命、海上安全の神である健磐龍命(たけいわたつみのみこと)の4柱で、さらに4柱の配祀神を加えた合計8柱の神様をお祀りしています。
「主祭神の1柱である健磐龍命は、熊本・阿蘇神社の神様です。温泉津港は北前船の寄港地として、広い地域との交流がありましたから、九州との交易も盛んだったのでしょう」と解説してくださったのは、大田市教育委員会の大門克典さんです。
龍の姿をした奇岩『龍岩』を
崇拝することから始まった龍御前神社
龍御前神社の背後にそびえる高台には、龍が口を開けているように見える奇岩『龍岩』があり、その龍岩が抱え込むようにして奥の院が建っています。
元々は、この龍岩自体が、神の降臨する磐座(いわくら)として崇拝されていたのだそう。いかにも日本固有の自然崇拝、自然信仰の名残のようです。
龍御前神社では、毎週土曜日、拝殿で『夜神楽』を開催。伝統芸能『石見神楽』を触れられるほど間近で鑑賞できるとあって、毎回、境内は観光客で溢れています。大迫力で荘厳な龍御前神社の夜神楽、いつか必ず、その勇壮な世界にどっぷりと浸ってみたいと思えるのです。
【アクセスについて】
●龍御前神社へのアクセス/JR温泉津駅から徒歩約15分
●島根県大田市温泉津町温泉津ロ156
【WEBサイト】大田市観光協会