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良質な粘土が豊富に採れる島根県西部、石見地方は、古くから“はんどう”という名前の大きな水がめの産地として知られていました。石州瓦と同様に、北前船に積まれて全国への家庭へ運ばれていたのです。高温の焼成で造られる石見焼は、頑丈で耐酸・耐塩・耐水性にすぐれた製品として全国に普及していました。まだ水道も通っていない時代、はんどうの用途は、家々の貯水がめとしてはもちろん、紺屋の染料がめや、漬物の貯蔵用の容器などとして、たいへん人気がありました。その最盛期には、石見地方に1000軒を超える窯があったといいます。けれど、やがて時代は、水がめを必要としなくなり、石見焼の窯もずいぶんと減少。現在は、7社を残すばかりになっていますが、今も日用品をはじめ、様々な石見焼を作り続けています。ガスや電気の窯が多くなる中、あくまでも「登り窯」にこだわり守り続ける窯元もあります。石見焼は、平成6年に国の伝統工芸品に指定されています。
【WEBサイト】江津市観光サイト